「今の学生の健全な成長にとって、最大の敵はスマホ。」
塾をやりながら、ずっと感じていました。
生徒さん達の「考える力」「読み取る力」は、年々弱くなっています。
そして寝不足なのか、明らかに集中力不足な子も多いです。
昔はテレビやファミコンでしたが、今はスマホです。
スマホに比べれば、テレビゲームがマシに思えてくるほどです。
でもそれはあくまでも僕ら大人の勝手なイメージかもしれない。
「スマホは本当に悪いのか?」
「もし悪いなら、具体的に何がどういけないのか?」
それを知っておく必要があります。
そのためにうってつけの本が、今回紹介する『スマホ脳』です。
著者のアンデシュ・ハンセンは精神科医です。
世界最高レベルの脳科学者たちが、最新の研究結果を発表する学会において、多数の同業者が
「このデジタル化が人間に及ぼす影響はどんなものか?」
心配していたようです。
そして、
「心の不調で受診する人が、ここ10年、特に若い人の間で著しく増加している。その一因は、一気にデジタル化したライフスタイルにあるのではないか?」
というその1点は、みんな合意したといいます。
そしてこの本は、
「ここ数十年のライフスタイルの急速な変化が、脳にどういう結果を引き起こすか?」
の答えです。
僕自身、「子どもに悪影響だな」と思いながらも同時に、
「忙しい、ゆっくりする時間がない」
「最近疲れが取れないな」
と感じていました。
この本を読んでわかりました。
スマホが原因でした。
寝室にスマホを持ち込まないようにしました。
スマホは1日2時間まで、意識するようにしました。
一気に調子よくなりました。
ぜひ一度、この本を読んでみて下さい。
読むだけでなく、手元に置いておき、スマホ中毒を防いでください。
毎日の習慣が変わります。
毎日の習慣が変わるので、大げさじゃなく人生が変わります。
あらすじを紹介していきます。
第1章 人類はスマホなしで歴史を作ってきた
人類の長い歴史の中で、今を生きる私たちの時間はほんの一部分です。
そして今の私たちの時代は、20年前のケータイ電話を思い出せば、急速に変化しています。
でも人間は、それに適応できていません。
動物の進化はすぐに起こるものでなく、長い時間をかけて突然変異を重ね、ゆっくりゆっくりと適応していくからです。
身体も脳も、急速に変化する現代に全く適応できていない。
その事実を、詳しく教えてくれています。
第2章 ストレス、恐怖、うつには役目がある
人間は強いストレスにさらされると「戦う」か「逃げる」しかない。
大昔なら、ライオンにバッタリ遭遇したとき。
強いストレスのもとでは、「戦う」か「逃げる」以外の選択肢はなくなる。
生き残ることが第一で、それ以外のことは重要じゃないから。
今の時代なら、仕事の締め切りに間に合いそうにないときなどに、強いストレスを感じる。
脳は現代社会に適応できていないので、そんなときも「戦う」か「逃げる」モードになる。
危険を避けるには、その場から離れればいい。
閉じこもって隠れていればいい。
うつ状態は、自分自身を助けるためのもの。
うつになるのは、自分自身のせいじゃなく、脳がプログラムされている通り働いた自然な結果。
急速に変わりすぎた現代社会と脳の反応が、ズレているだけ。
そのズレが原因で、心の不調を抱える人が多くなっていることを、脳の仕組みをまじえ、説得力高く教えてくれます。
第3章 スマホは私たちの最新のドラッグである
人間を行動させるのは、脳内のドーパミン。
ドーパミンは、生き延びて遺伝子を残せるように人間を突き動かしてきた。
食べ物や繁殖行為で、ドーパミン量が増え、「またしたい!」と思うのは当たり前。
そして「知識」や「新しい情報」にも、ドーパミン量が増える。
「危険な動物はどこにいるか?」
「上手に狩りをするには?」
知識や新しい情報は、生き残る可能性を高めてくれるから、ドーパミン量が増える。
それは現代社会にも当てはまる。
「新しいニュースはないか?」
「SNSにメッセージやイイネは来ていないか?」
スマホを開きたくなる欲求が生まれる。
さらに恐ろしい設計がされている。
ドーパミンが一番出るのは「できた」ときより、「できるかもしれない」と期待しているとき。
「当たりカードを引けば報酬をもらえる」実験では、「全部当たり」とわかっているときよりも、「当たりもハズレもある」時の方が、ドキドキ感も大きく、ドーパミン量が多くなる。
これはSNSにも活用されている。
「イイネ」がつくのは、誰かが「押したその瞬間」ではない。
いったん保留して、刺激を少しずつ分散し、デジタルご褒美への期待が最大限になるように設計されている。
だからすぐに開きたくなる気持ちが芽生える。
まるで中毒のように。
フェイスブックの「いいね」機能を開発したローゼンスタインは、「依存度はヘロインに匹敵する」として、自分のスマホに子ども用のスマホ使用制限アプリをインストールしている。
ipadを開発したスティーブ・ジョブズは、「自分の子どもには、使用を徹底的に制限していた」のも有名な話。
「新しいイイネやお知らせがあるかもしれない!」
不確かな期待が、ドーパミン量を増やす。
そのせいで「スマホを見たい!」という強い欲求が起こる。
スマホを遠ざけるのが難しい納得の理由が、書かれています。
第4章 集中力こそ現代社会の貴重品
人間は、複数のことを同時にやるマルチタスクは苦手だ。
マルチタスクを好む人ほど、集中力も記憶力も成績が悪かったスタンフォード大の研究もある。
でも脳は、マルチタスク=複数の作業に気を配ることに、ドーパミン量を増やす。
なぜなら、その方が生存確率が高まるから。
1つのことに集中するより、周囲に目を配る方が、危険を発見しやすい。
だから、「気が散る」のは自然な結果。
でもそれは現代社会に適応していない。
大学生500人の集中力と記憶力テストでは、「スマホをサイレントモードでポケット」よりも、「スマホを教室の外」においた方が、成績が良かった。
気になって集中できないから。
また長期記憶を作るためにも集中が必要。
脳が「これは大事!」と思うからこそ、脳は覚える。
「これは大事!」と思うためには、色々な情報を一気に入れるのではなく、その情報1つを集中して入れる必要がある。
現代社会で良い成果を上げるには集中する必要がある。
それなのに、新しい体験と報酬を与えてくれるスマホが、10分間隔で誘惑してくる。
このへんから、本当に恐ろしく感じ始めました。。。
第5章以降 スマホの弊害
こんな感じで、
第5章 スクリーンがメンタルヘルスや睡眠に与える影響
… スクリーンのブルーライトなどが、睡眠を妨げる
第6章 SNS – 現代最強の「インフルエンサー」
… SNSを使うほど、心の健康が破壊されやすい
第7章 バカになっていく子供たち
… 子どもは大人よりスマホ依存になりやすい
について、これまた説得力高く書かれており、より不安があおられます。
ところが、
第8章以降 スマホとうまく付き合うために
第8章から「どうすれば上手にスマホと付き合っていけるか?」
明確にしてくれています。
確かに、どれだけスマホが中毒性が高いとわかっていても、この時代に「スマホは使わない!」というのは不可能です。
大人なら仕事にならない。
子どもも大人も「スマホと上手く付き合う!」ことが大切。
第8章 運動というスマートな対抗策
… 必要なのは運動
第9章 脳はスマホに適応するのか?
… 意識してデジタルな道具を賢く使っていかなければいけない
第10章 おわりに
… デジタル時代に健康に健全に生きるためのアドバイス
前向きに締めてくれています。
特に最後10章では「職場ではこうしよう」「寝るときはああしよう」と、かなり具体的な方法を示してくれています。
とりあえず、子どもたちに関しては、このルールを守れば大丈夫そうです。
こどもたちが能力を発揮するには、毎日1時間の運動、9〜11時間の睡眠、スマホ使用は1日2時間まで。
スマホは本当に恐ろしいです。
でも不可欠。
だからこそ上手に付き合っていくための「新しいスマホ習慣」が必要です。
習慣を創り上げるのは、一朝一夕では難しい。
習慣になるまで、毎日強く意識していないとダメです。
そのためにもこの本を、いつでも目に見えるところに置いておく。
それだけでも「ハッ!スマホ中毒!!」と意識でき、少しでも自分をコントロールできるようになりました。
一家に一冊、必要な本です!
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